クルマのエンジンがかからない、それは突然だった。

今日も仕事に出かけようと、いつもの時間どおりにクルマに乗り込んだ。

今日は大事な会議がある、午前中に準備をしなければならいことがある。朝から少し緊張気味だった。

クルマにキーを差し込み回す、
「カチッ!」

「あれ、エンジンがかからない。」

もう一度キーを回す
「カチッ!」

あまりクルマには詳しくないが、
「これってセルが回らない?」

もう一度、やってみるが、エンジンはかからない。

少し間をおいてもう一度。
変わりはなかった。

昨日までは何ともなかったのに。

さてどうしよう、今日は大事な会議があって、午前中にやらねばならないことがある。とにかく会議があるんだ。

頭の中は真っ白、どうしていいかわからない。

クルマに少し詳しい同僚に電話してみる。

「もしもし、クルマのエンジンがかからない。どうしたらいい?」

「えー、マジ?。どんな感じなの?」

「キーを回しても何の反応もないんだ。」

「・・・バッテリーがあがってるんじゃない?ルームランプが点けっぱなしだったとか?」

「いや、それは大丈夫だと思う。」

「バッテリーが古いんじゃない?いつバッテリー交換した。」

「・・・わからない。車検がおととしで、その時は交換してないはず。その前の車検も交換してないと思う。」

「バッテリーがあがったのかも。とりあえず正常なクルマとケーブルでつないでエンジンかかるかどうか。
じゃ、俺もそろそろ出発しないといけないから。」

そこで同僚との会話は切れた。仕方ない。自分のせいで同僚を遅刻させられるわけにはいかない。
しかしどうしよう。この間にも刻一刻と時間は過ぎて行く。
変な汗が出てくるのが分かった。

タクシーを呼ぶか?いやそれは最終手段だ。タクシーよりJAFだ。いやそれもどうだ。JAFの到着を待っていたら完全に遅刻だ。タクシーか!JAFか!

その時、隣のクルマに乗り込もうとしている人影に気づいた。アパートの隣の部屋の人だった。
何も考えず声をかける。とにかく急いでいた。

「おはようございます。すみません。エンジンがかからなくなっちゃって」

「おはようございます。それは大変ですね。」

「たぶんバッテリーがあがっちゃってるんだと思うんです。ケーブルなんて持ってませんか。すみません。」

「ああ、ありますよ、持ってます。ちょっと待って」
と言って彼は、トランクを開け、ケーブルを取り出した。

「ボンネット開けてください」と彼

「はい」と言っておぼつかない手でボンネットを開けた

隣人のクルマもボンネットを開け、お互いのバッテリーをケーブルでつないだ。

少しして、「エンジンかけてみてください」と隣人

「はい」と言ってエンジンをキーを回してみた。

「ブルるるーん」(実際はちょっと違う音)

かかった。やった。かかった。これで出社できる。今ならまだ遅刻しないだろう。

隣人はケーブルを外し、トランクに片づけた。

「いやあ、ありがとうございます。助かりました。朝の忙しい時間にすみませんでした。」

「いや、大丈夫ですよ。でも、クルマ屋さんで一回見てもらった方がいいですよ。」

そう言って隣人はクルマを走らせた。

ほっとした。ここでちょっと一服。といきたいところだが、そんなわけにはいかない。時間がない。とにかく自分も急ごう。まだ間に合う。

やっと出発することができ、遅刻しないですんだ。会議の準備も何とか終わり。無事会議も終わった。

週末ディーラーに行って点検してもらったが、やはりバッテリーの寿命だったらしい。新しいバッテリーに交換してもらった。

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隣人には、ちょっとした手土産をもって隣人にお礼をしに行った。


しかし、クルマのエンジントラブル、それは突然だった。
なぜかちょうど1年前に彼女にふられたことを思い出した。それも突然だった。

古いクルマなのでそろそろ買い替えを考えている。